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2026年03月04日

活動報告

【施設向け】介護等体験の受け入れマニュアル|満足度93%を実現するポイント

この記事は、介護等体験に関する2本シリーズの「受け入れ施設向け」記事です。学生がどんな不安を持っているかを知りたい方は、学生向けの記事もあわせてご覧ください。


「また学生の受け入れか…」職員の負担にならないか、正直不安ですよね。

受け入れを決めた以上はちゃんとやらなければ。でも、何をどこまでやればいいのかわからない。そんな気持ちを抱えている担当者の方も多いはずです。

結論から言えば、適切な受け入れ体制を整えるほど、職員の負担は下がり、学生の満足度は上がります。当施設(藤花会)のアンケートでは、こんな結果が出ています。

93%
「めっちゃよかった!」

100%
より良いイメージに変化

100%
職員がとても温かかった

※当施設(藤花会)で介護等体験を行った学生へのアンケートより(2025年度、17名)

この記事でわかること

  • ・介護福祉士実習との違い(混同しないための基礎知識)
  • ・手引書を使った効果的な受け入れ方法
  • ・学生の不安を理解した対応のしかた
  • ・職員への事前指導と証明書発行の注意点

 

1. 介護等体験とは|制度の概要

■ 制度の成り立ち

介護等体験は、1997年に制定された「介護等体験特例法」にもとづく制度です。小学校・中学校の教員免許を取得するためには、この体験が必須とされています。背景には1995年の阪神・淡路大震災があり、「様々な人々と支え合う経験」の重要性が社会全体で認識されたことがあります。

■ 文部科学省が定める目的

文部科学省は、介護等体験の目的を「個人の尊厳・社会連帯の意識を高め、様々な人々と接することのできる豊かな人間性を育む」と定めています。つまり、介護技術を習得させることではなく、「人と関わる力」「多様性を理解する力」を育てるための体験です。

■ 体験の概要

  • ・対象:小学校・中学校の教員免許取得希望者
  • ・期間:合計7日間(社会福祉施設5日間+特別支援学校2日間)
  • ・評価:参加態度の確認のみ(技術の習熟度は問わない)

■ 免除されるケース

以下の資格・免許保持者は免除対象です。学生から相談があった場合は、大学の教務課に確認するよう案内してください。

  • ・介護福祉士・社会福祉士
  • ・保健師・助産師・看護師
  • ・特別支援学校の教員免許保持者

 

2. 【重要】介護福祉士実習との違い

結論:介護等体験は「技術習得」ではなく「人と関わる体験」。同じ対応をすると双方が疲弊します。

現場でよくある混同が、「介護福祉士実習」と「介護等体験」を同じものとして扱ってしまうケースです。この2つは目的も対象も、求めるものもまったく異なります。

項目 介護福祉士実習 介護等体験
目的 介護技術の習得 福祉の心を学ぶ体験
対象者 介護福祉士を目指す学生 教員を目指す学生
期間 数週間〜数ヶ月 5日間
指導内容 専門的な介護技術 見て、感じて、考える
評価 技術習得度を評価 参加態度の確認のみ

介護福祉士実習と同じ水準の指導や関わりを求めると、職員も学生も必要以上に疲弊します。「体験」であることを理解すれば、受け入れの負担は大幅に軽減されます

 

3. 手引書で学生と職員の共通理解をつくる

結論:手引書があるだけで、口頭説明の負担が減り、学生が自主的に動けるようになります。

■ 手引書を作るメリット

  • ・学生と職員の共通理解が生まれる
  • ・初日の口頭説明の負担が減る
  • ・学生が自主的に動ける
  • ・体験の質が年度ごとに安定する
  • ・施設の専門性・理念が学生に伝わる

■ 手引書に盛り込む内容

  • ・施設の理念と特徴
  • ・体験スケジュール
  • ・服装・持ち物(具体的に)
  • ・利用者様との接し方
  • ・報告・連絡・相談のルール
  • ・緊急時の対応
  • ・個人情報保護・SNS使用禁止

■ 服装規定は「具体的に」書く

曖昧な表現は、学生の迷いと当日のトラブルの原因になります。

❌ 曖昧な表現(避ける)
「清潔感のある服装でお越しください」
✅ 具体的な表現(推奨)
「トップス:白または紺の襟付きシャツ、もしくは白の無地Tシャツ」
「ボトムス:黒または紺のチノパン(ジーンズ不可)」
「靴:白または黒のスニーカー(派手な色・柄は不可)」

■ 藤花会の工夫:体験課題の設定

当施設では、手引書に「体験課題」を設けています。学生が受け身になりがちな5日間を、主体的な「学び」に変えるための工夫です。

課題例①:職員へのヒアリング
「なぜ介護の仕事を選んだのか」「変則勤務と家庭の両立」について、複数の職員に直接聞いてもらう。

課題例②:利用者様の理解
「入居の経緯」を利用者様本人や職員から聞き取り、記録する。

課題があることで、学生は自然と職員や利用者様に話しかける動機ができます。「何をすればいいかわからない」という学生の最大の不安も解消され、職員や利用者様との会話が自然に生まれます

■ 手引書の配布タイミング

  • ・初日のオリエンテーション時に手渡し
  • ・職員にも事前に同じ内容を共有しておく

 

4. 学生に何を経験させるべきか

■ 基本方針:「教える」のではなく「一緒に過ごす機会を作る」

介護等体験の目的は、専門職を育てることではありません。学生に提供すべきなのは「教員としての視点を広げる体験」です。難しい業務を任せる必要はなく、利用者様と一緒にいる時間そのものが体験になります

■ 具体的な体験内容の例

  • ・利用者様との会話・傾聴
  • ・レクリエーション(ゲーム、計算ドリル、クロスワード、折り紙など)のサポート
  • ・季節のイベント(餅つき・クリスマス会など)への参加
  • ・職員へのヒアリング(手引書の課題)

■ 学生が「役に立てた」と感じる瞬間

先輩学生のアンケートには、こんな声が届いています。

「利用者様とゲームをした際に、『あなたがいてくれてとても楽しい時間を過ごせた』という言葉を頂いた」みきさん(2025年度体験)
「2日目から4日目にかけて、最初はやり取りが少なかった利用者の方が、話してくれたり笑顔になってくれたりした」匿名(2025年度体験)

特別なことは何もしていません。「一緒にいる」だけで、学生にとっても利用者様にとっても価値ある時間になります

 

5. 受け入れ初日の対応

結論:初日の雰囲気が、5日間の満足度をほぼ決めます。

アンケートで100%の学生が「職員の雰囲気がとても温かかった」と答えています。この結果は、初日のオリエンテーションで「温かく迎える」雰囲気を意識した結果です。

■ オリエンテーションで伝えること

  1. ・温かい歓迎の言葉(「よく来てくれました」「5日間、一緒に楽しく過ごしましょう」)
  2. ・施設の理念と特徴
  3. ・1日のスケジュール
  4. ・利用者様との接し方
  5. ・緊急時の対応
  6. ・「わからないことは何でも聞いてOK」という一言

■ 学生の緊張をほぐす声かけ

「みんな最初は緊張するから大丈夫ですよ」
「完璧にできなくていいからね」
「困ったことがあったら、いつでも声かけてね」

こうした言葉ひとつで、学生の表情が変わります。緊張した学生が利用者様に自然に話しかけられるようになるのは、職員の雰囲気が大きく影響しています。

 

6. 職員への事前指導

■ なぜ職員への事前指導が必要か

職員全員が同じ方向を向いていないと、学生は「この人には聞けるけどあの人には聞きにくい」という状況に置かれます。担当者だけでなく、フロア全体で受け入れの方針を共有しましょう。

■ 職員に伝えるべきマインドセット

①「教える」より「一緒に過ごす機会を作る」
技術を教えることが目的ではありません。学生が利用者様と自然に関われる場を作ることが役割です。

②「お客様」ではなく「学びに来ている仲間」として接する
過度に気を遣いすぎず、でも温かく。自然体で接することが一番です。

③専門用語は丁寧に説明する
学生がわからない顔をしていたら、すぐに説明を加えましょう。

④必要な指導は冷静に、理由を説明しながら
感情的にならず、「○○は△△だから、□□してくださいね」と理由とセットで伝えます。

■ 避けるべき対応

❌ これは避けよう
・忙しさを理由に学生を放置する
・専門用語を説明なしに使い続ける
・「そんなことも知らないの?」という態度
・感情的に怒る

学生が「怒られた」と感じてしまう体験談の多くは、こういった対応が原因です。適切な指導と温かい雰囲気の両立が、93%の満足度につながっています

 

7. 学生の本音を知っておこう

■ 学生が抱えている不安

受け入れる学生の多くは、こんな気持ちで施設の門をくぐっています。

  • ・「正直、介護等体験はいらないと思っている」
  • ・「何をすればいいかわからない」
  • ・「注意されたら嫌だな」
  • ・「利用者様とうまく話せるか不安」

つまり、最初から「やる気がない」わけではなく、「どうすればいいかわからない」「失敗したら怖い」という不安が大きいのです。

■ でも、体験後は全員がポジティブに変化

実際に体験した先輩たちは、このように変わっています。

100%
「より良いイメージになった」

100%
「職員がとても温かかった」

93%
「めっちゃよかった!」

不安を抱えてやってくる学生が、5日間でここまで変わる。その鍵は、施設側の対応にあります。

💡 学生の本音をもっと知りたい方へ
学生向けの記事では、体験前の不安・準備・当日の心構えを詳しく解説しています。受け入れ担当者が読んでおくと、学生への声かけの参考になります。

 

8. 5日間で学生はこう変わる

体験後、学生たちは「介護の仕事」をこんな言葉で表現しています(Q9より)。

「その人らしく過ごせる居場所を作る仕事」みきさん・德田さん
「ただ助けるだけではなくて、一緒に安心や笑顔をつくること」あかねさん
「人を支える仕事だけど、感謝される喜びを学んだり、成長させてくれる仕事」阪田さん

体験前は「いらない」と思っていた学生が、5日間でこれだけ深い言葉を持てるようになっています。この変化をつくり出しているのは、施設の皆さんの関わりです

将来、その学生は教員になります。子どもたちに「介護って何?」と聞かれたとき、施設での5日間を思い出しながら答えるはずです。

 

9. トラブル防止チェックリスト

■ 事前に確認しておくこと

  • □ 個人情報保護の徹底(利用者様の情報を外部に持ち出さない)
  • □ 写真・SNS禁止の周知(手引書と口頭の両方で)
  • □ 体調管理の確認(発熱・感染症の場合は来所しないよう事前連絡)
  • □ 万一の事故・怪我時の対応フロー確認
  • □ ハラスメント防止の確認(職員・学生双方)

■ 証明書発行の注意点

証明書発行のポイント
・発行期限を学生と事前に確認する
・最終日に直接手渡しするか、後日郵送かを決めておく
・郵送する場合は追跡可能な方法(レターパック等)で送る
・担当者が不在でも発行できる体制を整えておく

 

10. 受け入れ後のフォロー

5日間が終わったら、以下を行うことで翌年の受け入れがさらに良くなります。

  • ・証明書の速やかな発行(学生の教務課提出期限に間に合わせる)
  • ・職員同士の振り返り(よかった点・改善点の共有)
  • ・手引書のアップデート(毎年改善することで質が上がる)
  • ・アンケートの実施(学生の声を次年度に活かす)

 

まとめ:受け入れは施設のブランディングになる

学生の不安を理解し、温かく迎える。

その5日間が、未来の教員をつくります。

そして、施設への信頼と評判になります。

満足度93%・全員が「より良いイメージになった」というデータは、特別なことをしたからではありません。「体験の意味を理解し、温かく迎えた」結果です。

学生はやがて教員になります。良い体験は口コミで広がり、施設への信頼につながります。受け入れを「負担」から「投資」に変えることができれば、地域にとっても施設にとってもプラスになります。

 

よくある質問Q&A

Q1. 学生が何もせずぼーっとしています
「何かできることはありますか?」と声をかけてみてください。多くの場合、「何をすればいいかわからない」状態です。手引書に課題を設けておくと、学生が自分から動く動機になります。
Q2. 学生が利用者様とうまく関われていません
最初の1〜2日は緊張で会話が少なくなるのは普通です。職員が間に入って「○○さん、今日は学生さんが来てるよ」と橋渡しするだけで変わります。3日目以降に自然と打ち解けるケースがほとんどです。
Q3. 学生が遅刻しました
冷静に対応し、遅刻した場合の連絡先と手順を手引書に明記しておきましょう。感情的にならず、「次回は事前に連絡してください」と伝えるだけで十分です。
Q4. 証明書の発行を急いでほしいと言われました
大学の提出期限がある場合がほとんどです。事前に発行スケジュールを決めておき、最終日または一週間以内を目安に発行できる体制を整えておくとスムーズです。

 


 

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